【カービィ考察】遥かな文明と魂と
【注意!】
この記事ではカービィシリーズのネタバレ、また後半では新作「星のカービィ スターアライズ」の重大なネタバレを扱います。後ほど同様の警告をしますので、同作プレイ中の方は警告以降を閲覧しないことをオススメします。
あっしは昔から「星のカービィ」シリーズが好きで、結構な作品をプレイしている。20周年のときは、カービィ20年の集大成ともいえる書籍も購入し、よりカービィ知識を深めていってるところでもある。
ほのぼのな雰囲気で知られるカービィシリーズではあるが、その中でも世界観上の「謎」がいくつか残されている。この記事で紹介しないことでは、「メタナイトの正体」などだろうか。メタナイトは仮面を取るとカービィそっくりの姿でゲーム内で描かれる。しかしその真実は未だハッキリしていない。
そして、今回この場で考察したいのは、タッチ!カービィ以降ラスボスの真の姿としてカービィの前に立ちふさがる「ソウル」系ボスとハルカンドラ文明の関連性についてである。
ハルカンドラ文明とは、カービィ世界に登場する超文明。星のカービィWiiでその存在が明らかになったが、同作で過去の作品に登場した不思議アイテムがハルカンドラ製であることが示唆された。
では、ソウル系ラスボスの登場するカービィシリーズを、ハルカンドラ製アイテムと結びつけながら紹介する。
タッチ!カービィ
「魔法の絵筆」というアイテムを主体に物語が進む。魔法の絵筆(プレイヤー)に導かれ、ボールになってしまったカービィが冒険を繰り広げる。
ラスボスである「ドロシア ソーサレス」を倒すと初のソウル系ラスボスである「ドロシアソウル」が姿を見せる。
絵の具をごちゃまぜにしたような姿に5つの目、そして大きく裂けた口。奇怪な叫び声をあげ、ただカービィを潰すだけのように「デッドリーサン」や「シューターカッター」などで攻撃してくる。
星のカービィ ウルトラスーパーデラックス
真格闘王への道の隠しラスボスとして、「マルクソウル」が登場する。
「銀河にねがいを」のモードでは、カービィがポップスターの月と太陽の喧嘩を止めてもらうため、銀河の果ての大彗星「ギャラクティックノヴァ」を星々を巡って呼び出した。
しかし全てを計算していた「マルク」は願い事を横取りし、ポップスターを我がものにしたいとノヴァに願った。ノヴァはポップスターのもとへ、マルクはノヴァからパワーを貰い変身。変身後の姿は異形の翼が生え、ノヴァのモチーフであるハート型があしらわれている。どちらともカービィが勿論撃破したのだが…。
カービィに撃破されて吹き飛ばされ、ノヴァに激突したあとのマルクが、ノヴァの破片からパワーを吸い取り、自我を喪失した状態で強大なパワーを得た姿こそがマルクソウルである。
目は完全にラリって、以前でも奇妙だったマルクの変身が輪をかけてエグいものになっており、一見しても謎の恐怖心を抱かせる。断末魔は子供たちのトラウマである。
星のカービィWii
ハルカンドラの初出。ここで登場するハルカンドラは荒廃しており、超文明の名残はあまり感じられない。
カービィを利用した「マホロア」はハルカンドラで四つ首の飛竜「ランディア」の守っていた「マスタークラウン」を奪い、銀河をも手にする力を我が手に収めた。最終的にマホロアはその力に振り回され、異形の姿に。カービィ達によって倒された。マスタークラウンも無論ハルカンドラ製である。
真格闘王への道では、隠しラスボスとして「マホロアソウル」が登場する。
ソウル化以前より体色が緑色を帯び、口のような所からは目玉がギョロりと覗いているところは、ダークマター族を想起させる。マホロアの意識はなく、マスタークラウンに支配されているという。
星のカービィトリプルデラックス
真格闘王への道のラスボスとして「セクトニアソウル」が登場する。
「クィン・セクトニア」は他人に寄生する
というダークマター族になんか似通った「あやつりの秘術」を得意とする一族であり、カービィの前に登場する女王蜂の姿ももともとのセクトニアの姿ではない。
セクトニアの支配していた浮遊大陸フロラルドの近くには「星のカービィ 鏡の大迷宮」で登場した「ディメンションミラー」が存在し、なんとこいつがセクトニアの部屋に部下の「タランザ」の献上したものとして置かれていたのである。ディメンションミラーの力で自らの美や支配への執着を増幅させ、最終的には「ワールドツリー」にまで寄生してポップスターをも支配しようとする。
カービィに敗れたツリー寄生セクトニアだったが、「きせきの実」の力で蘇り、美と支配に執着したゾンビのようにセクトニアソウルとしてカービィに襲いかかるのだった。
そして自らの体をワールドツリーから強引に切り離し、首から上の状態で襲いかかってくるのも執念を感じさせる。悲壮な骸、という表現が非常に似合う。
星のカービィ ロボボプラネット
ハルトマンカンパニーの社長「ハルトマン」は古代文明を紐解き、願いを叶えるというマシンを会社の技術力で復活させる試みを行った。しかしそこで最愛の娘を失くしてしまった。
その後、そのマシンの経営戦略に従い、娘に会うためカンパニーの繁栄に尽力していたが、マシン制御のために自らとマシンをデバイスで繋げていたところ、記憶と、そして人の心をも失ってしまった。
そのマシンこそ、ラスボス「星の夢」である。
カービィに敗北し激怒したハルトマンは、星の夢に乗り込んでカービィを排除しようとする。しかし制御装置を秘書スージーが奪い取ったため、不具合で星の夢とハルトマンが融合。ハルトマンを通じ生命体を知った星の夢は、「カンパニーの繁栄にか弱い生命は不要」と判断し、全生命体の排除を宣言した。
そして真格闘王への道では、ワープホールから呼び出した銀河最強の剣士「ギャラクティックナイト」に大きな傷を付けられたことで最終プログラム「Soul 0 System」が発動。「星の夢 Soul.OS」としてカービィを排除する。
この星の夢、第2形態からはカンパニーの母船「アクシスアークス」とマージし襲いかかるのだが、装甲が外れた第3形態ではなんとあのギャラクティックノヴァと酷似した姿を見せる。「古代文明」「願いを叶えるというマシン」の時点で察することも出来たが。
そしてSoul.OS戦では体内に入り込んで戦うことになるが、完全に「銀河にねがいを」でノヴァを止めた際の時と内部構造が一致。ハート型のコアの周りに装置が周回している。
ここまでを振り返ると、ソウル系ボスには何らかの不思議アイテムが関わっている(もしくは不思議アイテム自体である)ことがわかる。
ドロシアソウル……魔法の絵筆
マルクソウル……ギャラクティックノヴァ(の破片)
マホロアソウル……マスタークラウン
セクトニアソウル……ディメンションミラー
星の夢 Soul.OS……ギャラクティックノヴァ(の設計図?)
ここで浮かび上がってくるのは「ハルカンドラ文明のパワーは対象の『ソウル化』を誘発する」という仮説である。
上記の不思議アイテムの中でハルカンドラ文明のものと公式で示唆されているのは「ギャラクティックノヴァ」と「マスタークラウン」のみだが、「魔法の絵筆」や「ディメンションミラー」も仮説に従えばハルカンドラ製であることが推察できる。
特にディメンションミラーは「持ち主の願いを反映した平行世界『鏡の国』へと行ける」という能力も持っている。
ハルカンドラ自体はポップスターのある次元とは別次元にあり、それ故にハルカンドラ文明のものである「ローア」で次元を渡ることで辿り着くことが出来た。「次元」は英語で「ディメンション」である。
これからのカービィシリーズで不思議アイテムが登場したら、ラスボスとの関係を疑ってみるといい。もしかしたら、そのボスとのまさに魂を懸けた戦いが繰り広げられるかもしれない。
【警告!】
以降は「星のカービィ スターアライズ」の重大なネタバレを含んでいます。
こうかいしませんね?
……R…E…A……D…Y…………… ->
GO!->
星のカービィ スターアライズ
魔神官「ハイネス」が自らの崇める破壊の神を復活させる儀式をしていたが失敗、「ジャマハート」を破壊してしまい、それがカービィの冒険の始まりとなる。
遂にハイネスが儀式を行う「神降衛星エンデ」に到達したカービィ。三魔官も退け、ハイネスに挑むが、そこでハイネスは早口で次のようなことを叫ぶ。
銀河の果てに追いやられた魔力を司る我ら一族の悲願!
お前なぞにこの積年の思いの尊さがわかるのか?
いやわかるはずがない断じてないないないない!
かつて友であった奴らは我ら一族の力に恐れたのか、一族を皆ことごとく封印し銀河の果てヘと追いやった!
それでも飽きたらずかこの歴史からその存在さえ一辺も残らず消し去ろうとしたぁ!
我らの魔力があってこそ、奴らの科学と融和することで成し得た偉大な繁栄!
銀河の危機とも呼べるあのおぞましい悪夢を退けた我々に対しあまりの仕打ち!
これは誤解などでは決してないない!
我を狂っているなどと言った奴らよ聞こえているか!
銀河の最果てヘと我らを置き去りにして旅立ち今も恐らくどこかでのんきに暮らしておるお前らに最早未来などない
闇の物質を祀る我が一族の復権は近い
皆が偽りと決めつけおった伝説の書の通りについに我らは神の居られる器を手に入れたのだ
目覚めさせしものに染まり慈悲を下さるというその神の器は今満たされつつある
遂に偉大なる神が誕生する時が来たのだぁ
誕生するぞぅ誕生するぞぅ誕生するぞぉ~
はっぴぃーばーすで~い!新たなる歴史よ時代よぉ~!
はっぴぃーばーすで~い偉大なる、神よおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!
ピクシブ百科事典「ハイネス」より ハイネス (はいねす)とは【ピクシブ百科事典】
めちゃくちゃな重要情報をサラッと叫んでおりますね。
つまりハイネスの一族は魔力の一族で、そしてもうひとつ科学の一族がいた。
魔力の一族は闇の物質、ダークマター族を信仰。科学の一族は超文明を持っていたのだろう。……恐らくハルカンドラ文明のことか。
共に協力し悪夢を退けたようだ。「悪夢」というと「ナイトメアウィザード」が思い浮かぶが、比喩だとすれば何があったかは推測が難しい。ギャラクティックナイトが暴れたという可能性もあるかもしれない。
しかし科学の一族は魔力の一族を追いやったという。その復讐のため、破壊の神を呼び起こそうとしているのだろう。……ハイネスが信仰するのはダークマター族、ということは破壊の神も………。
そして復活したラスボスである破壊の神は「エンデ・ニル」。ゼルダの伝説にでも出てきそうな風貌をしている。
(画像は強化版)
ちなみに「エンデ」はドイツ語で「終わり」、「ニル」は「虚無」を表す。
もともとニルは完全な悪ではなく虚無なため、「呼び出したものに染まる」ようだ。しかしハイネスの儀式の段階で、ハイネスが自らを生贄として差し出したことで、その意思に染まって、混沌としているとみえる。
最終的にはニルの体内(?)で球体のコアとバトル。その姿は、見ようによってはカービィにも見えてしまう…?
戦いの後半になると口のような部分から目玉が覗き、周辺からひだが。完璧にダークマター族の姿をしている。
(画像はソウルオブニル)
結果ニルはカービィと星の盟友達によって見事消滅した。
モード「Theアルティメットチョイス」の最大レベルでコアの「ソウルオブニル」と相見えることが出来る。この時のソウルオブニルの色は灰色。GB版の白黒カービィを想起するのは早合点だろうか。
(目と口の様に見える)
ここまで読んだ諸氏は何か引っかかるものを覚えただろう。「あれ?こいつハルカンドラ関係なくない?」。はい。これがややこしいところです。
下の画像をご覧頂きたい。
…ソウルオブニルと戦う直前の強化版エンデ・ニルの形態なのだが…画像上方にある金色のあれ、紛れもなくマホロアの被っていたマスタークラウンである。また強化版に限らず、ニルの弱点はハート型。ハートのモチーフといえばギャラクティックノヴァであろう。そう、ハルカンドラのモチーフが、ふんだんに取り入れられている。
ファンサービスと言ってしまえばそれまでなのだが、真面目に考察してみる。
科学の一族と魔力の一族は袂を分けたはず。では何故魔力の一族側の神であるニルにこのようなモチーフがあしらわれているのだろうか。
ギャラクティックノヴァやマスタークラウンが制作された時期というのは不明であるが、少なくともマスタークラウンは魔力の一族との親交があったころのものだと思われる。
何故か。マスタークラウンに支配されたマホロアを思い出していただきたいが、口のような部分から目玉が覗いていた。先程のニルのコアでも言ったように「口から目玉」というのはダークマター族のよくある手法。あの「ゼロツー」も登場時は口かと思わせた部分が目玉であった。
虚無ゆえ、呼び出した主に染まるニル。召喚したハイネスの科学の一族への強力な憎悪。この強い科学の一族の記憶が、ニルを染めた結果のものと考えるのはどうだろうか。ハイネスの言によれば、彼も魔力と科学の一族が協力していた当時の人。もしかするとノヴァやマスタークラウンの製造に関わり、ダークマターの力、魔力を提供していたのかもしれない。そしてそれが今日のハルカンドラ文明の遺産群ではないか、と推測することが出来るだろう。
初めてカービィの考察記事を書かせていただいた。拙いところも多いだろう。特にスターアライズの部分は新作ゆえ正しい解釈を出来ている自信がない。そういった部分も含めて楽しんでいただければ幸いである。
「イビルジョー」のことを老ハンターが教えてやる
アイツはヤバい。出会ったら逃げろ。
▲Youtubeの公式動画より
……えーはいどうも。自称老ハンターの紅烏でございます。
この度は「モンスターハンター:ワールド」になんとあの幾多もの狩人を震わせた破壊と暴食の権化が訪れるらしいではないですか。
今まで数々の狩場という狩場を潜り抜けてきた老ハンターのあっしからしたら非常に胸熱であり、「奴があの新大陸で暴れるのか…」と思うと非常にドキドキします。
…まあ実はあっし、老ハンターでもう目が追いつかず(それっぽい言い訳)、MH:Wは未プレイなので今絶賛MH:W堪能中で「MH3(トライ)以降の作品を遊んだことないよ!」って方に向けて、あの恐ろしい「イビルジョー」というモンスターのご紹介をしたいと思います。
では手元の「ハンター大全3」と呼ばれる王立古生物書士隊の編纂した分厚い本と、あっし自身の知識に乗っ取りながらお話ししましょうか。
イビルジョーはボルボロスなどと同様に獣竜種に属するモンスターで、別名を"恐暴竜"。決まった縄張りを持たず、自らの高体温を保つため、周囲の生物を見境無しに喰らい尽くすという自然環境クラッシャー。そのルックスは子供たちの心を掴んで離さない白亜紀の恐竜代表のティラノサウルスに似ていると言えるが、MH:Wにはアンジャナフというティラノサウルスをそのままモンハンに持ってきたようなモンスターがいるのであんまりこの比喩は良くない気がする。画像貼ってるんで見といてください(おい)。
上記のようにアプトノスを丸呑みするドスジャグラスだとかとは比べ物にならないぐらいの大食らい。草食モンスターは当たり前で、リオレイアとかリオレウスとかいう大型モンスターの死体も勿論食う。それどころかなんと切断された自分の尻尾も食う。それ弁当だったのか。
興奮状態になると(俗に言う怒り状態ね)、全身の筋肉が隆起し、体全体が赤みがかる。また傷口が痛々しく開くことで凶暴性がさらに増すのだとか。いや自分の傷口が痛くてキレられても困るのだが。
で、まあ腹が減りやすいということでよく疲労状態にもなる。疲労状態になったモンスターはほぼ例外なくヨダレを垂らし、食糧を探すようになる。レイアならアプトノスとかとっ捕まえるし、ウラガンキンなら石を食べだすし、ディアブロスだったらサボテンを食らう。しかしいっつも疲労状態になってるイビルジョーはそこらへんのモンスターの疲労状態とは訳が違うのである。
まず食糧を探す段階では、目の前に動いている生き物全てが食糧である。多少動きが緩慢になるものの、行動のベクトルが通常「食べ物>ハンター」になるところが、イビルジョーの場合「食べ物=ハンター」なので気を抜くことが出来ないのであります。
また疲労状態に特化している(?)イビルジョーは自分のヨダレがなんと強酸性であり、獲物が硬かろうが溶かして食う。疲労状態でまた武器が増えるのである。勿論この強酸性のヨダレはハンターにも有効で、もれなく防御力ダウンの効果を貰う。賢いハンター諸氏は忍耐の種を持っていきましょう。
攻撃方法としては、まず獣竜種特有の脚力を活かした四股踏みや、飛びかかり。その巨体を活かした重量のある攻撃は一つ一つが即死級なので当たらぬよう注意すべし。幸い巨体というだけあって大ぶりなので読み切れば避けやすい。またイビルジョーはやはりというか顎の発達具合が著しく、連続で噛みつき相手を突き上げたり、顎で地面を掘り起こして岩をぶつけてきたりする。
怒り状態になると、褐色の禍々しいブレスを撒き散らすようになる。このブレス、龍属性を内包しており、威力も高い。また後ずさりや踏み込みで距離を上手く取って吐いてくるので、ブレス範囲のイビルジョー前方扇形から逃げ出すべし。
そしてイビルジョーの攻撃で最も危険なのが「拘束攻撃」。MH:Wにどのようなシステムで拘束攻撃が存在するか分からないので、過去作基準でお話する。まず脚力で獲物(ハンター)に飛びかかり、脚で踏みつけ拘束。そのままガブガブ噛み付くのだがそれもいちいち痛く、また脱出のために必要なレバガチャゲージがめちゃくちゃ長い。脱出出来なかったときの拘束フィニッシュ攻撃は、そこまでガブガブされていた体力では即死級の威力で、まさに死のコンボである。
唯一の抜け道は安心と信頼のこやし玉で、イビルジョーの狩猟では「回復薬を忘れてもこやし玉は忘れるな」と言われるぐらいである(今作った)。でもMH:Wってスリンガーこやし弾だったような…?
あっしから伝えられるのはここまでです。新大陸のイビルジョーがどんな動きをしてくるのか、まだドンドルマにいるあっしには分かりません。その筋の情報によると、あの「乱入爆撃機」ことバゼルギウスと縄張り争いを繰り広げていたという目撃例もあるようです。確かな情報は是非調査団のハンターであるあなた自身が、3月22日のアップデート後、狩場で体験するのが一番だと思います。
それではよきハンターライフを!レッツ、狩猟生活!
「SCP」とはなんぞや?って方に捧ぐ
おはよおおおおおおおお!!!
えーっと今回はですね、あっしが以前からハマりにハマってる「The_SCP_Foundation」についてにわかながらお話したいと思います。
最近よく見かけませんか?「SCP」という単語を。
SCPとは『目を離すと超高速で移動して人間の首をへし折る彫像』や『あらゆる水分に触れさせると敵対的な砂の怪物を作り出す砂漠』や『指定した飲み物を必ず出すコーヒー自販機』や『自分が生まれたという事実を消し去るイナゴ』などなど…、異常存在を指すことが多いです。
メタ的に言うとこうした異常存在を創作するサイトが存在します。
こうした異常存在を秘密裏に「Secure(確保)」、「Contain(収容)」、「Protect(保護)」する架空の団体のことを「SCP財団」と呼ぶ訳です。
SCPは基本、特別収容プロトコル(Special Containment Procedures)やその説明を記した報告書として書かれます。先程『』で挙げたのも全て存在し、財団によって収容(もしくは確認)されているSCP(SCiP)です。
ま、SCP財団というのは端的に言えば「よくわからん生き物とか物体とか現象とか場所とかを、それが確保、収容、保護されたりされなかったりしている体で創作しようぜ」っていうメンバーの集まりですな。
読み物が好きだったり、UMAとか、そういうオカルチックなものが好きな方は多分ハマります。ソースはあっしです。
では説明がてらSCPの紹介をしていきましょうかね。
SCP-682 -不死身の爬虫類
オブジェクトクラス: Keter
SCPにはSCP-XXXというふうにナンバーが振り分けられています。右のは呼び名(記事のメタタイトル)ですね。
「オブジェクトクラス」というのはそのオブジェクトの収容難度を表すもの。簡単なものから順に「Safe」「Euclid」「Keter」があります。こいつは最高難度のKeter。
ちなみにこれはオブジェクトの危険性ではなくあくまで収容難度なので、「国家によって適切に保持されている核爆弾」はSafeです。「意思を持ち、自分で爆発できたりする核爆弾」ならEuclid。「無制限に増殖し瞬間移動して爆発する核爆弾」とかだとKeterですかね。
SCP-682はその名の通り不死身のトカゲ。あらゆる傷が一瞬で再生する上、自分の形をメタモンの如く変化させられたりとてつもない力と素早さを併せ持つまさに化け物。しかも感情や知性があり人間に憎悪を抱いてるし。てことで収容もガッチガチで、分厚い鉄製の部屋の中に塩酸プールに浸された状態。それでも収容を脱したりするもんだから、こいつの収容されてる建物の周囲50kmは都市開発が行われない。それって隠蔽できてるんですかね。
こいつはSCPの中でもかなりヤバい部類ですね。今ではこいつみたいなSCPは使い古されたつまらないネタとされてます。俺TUEEEE系SCP代表です。
SCP-239 -ちいさな魔女
オブジェクトクラス: Keter
またKeterです。この子は「現実改変」の能力を持ったSCP。何と「自分が考えたことはその通りに叶う」というドラえもんも真っ青の能力持ち。故に医療的手段で常に昏睡状態になっています。
当然ですが死にません。「自分は死なない」というふうに無意識に現実を改変しているようで。
現実改変に関して「ヒューム値」とか「スクラントン現実錨」とか色々用語はあるんですが割愛割愛。
SCP-040-JP -ねこですよろしくおねがいします
オブジェクトクラス: Safe
「-JP」はSCP財団日本支部で収容されている(日本版サイトでつくられた)SCP記事という意味。財団日本支部の中でもかなり有名な部類に入るSCP。本体は画像の井戸小屋がオブジェクトで、その小屋の中を見た者は「ねこがいる」という観念に取り憑かれます。
このSCPは財団にも多い「ミーム」系のSCPです。「ミーム」とはとある(実在する)科学者が提唱した文化の伝達における基本単位のこと。
ミームというのは実はありふれたものであり、簡単な例で行けば「インテル長友」という単語を見た時に、あなたはサッカーが思い浮かびますか?それとも野獣先輩が思い浮かびますか?
ここで野獣先輩が思い浮かんだあなたは淫夢語録に「ミーム汚染」されてるのです。ね?簡単でしょ?
で、このSCPは全ての一般的なイエネコを見た時、造作のない顔に大きな目がふたつついた異形の「ねこ」に見えるようなミームを持ちます。ねこはいます。
これだけならまだ良いのですが、これからがミームの怖いところで、この観念は他の人間へと伝染します。きいてますかあらゆる媒体を通して。いますそしてこのミームに限っては、「ねこ」の観念を他人に積極的に伝えようとする為、厄介極まりない。
まあ伝染の仕方はねこですそのミームそれぞれですが、「この建物はかつて図書館だった」と認識させるミームだったり「それについて説明するときどうしても一人称視点になってしまう」なんてミームもあります。ねこでした
よろしくおねがいします
メモ
(まだまだ紹介し足りませんよろしくおねがいします、ねこでした)
この記事は「クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0ライセンス」に基づいています。
紹介したSCP
SCP-682 -不死身の爬虫類 by Dr Gears 本家→http://www.scp-wiki.net/scp-682 翻訳→http://ja.scp-wiki.net/scp-682
SCP-239 -ちいさな魔女 by Danteson 本家→http://www.scp-wiki.net/scp-239 翻訳→http://ja.scp-wiki.net/scp-239
SCP-040-JP -ねこですよろしくおねがいします by Ikr_4185 http://ja.scp-wiki.net/scp-040-jp
無駄な語彙力で会話が苦手になった話
今回はなんというか個人の感想というか、自慢げというかウザめというか。
「語彙」というのはまあ言語というか言葉をひっくるめたものを指す総称ですな。
語彙力はこれを操る力、即ち様々な単語を知っている力ですね。国語が強い人はだいたい語彙力があるのではないだろうか。
あっしは子どもの頃から本を読んだりテレビを観たりするのが大好きで、新たな知識をスポンジのように吸収しておりました。
これが今のあっしの「語彙」と「雑学」の基礎基盤となっています。
小学生低学年のころ、近所の友達と一緒に帰ってる時、道端に「ネコジャラシ」が生えておりました。
ネコジャラシは呼称で「エノコログサ」というのが正式名称なのをご存知でしょうか。
この時あっしは小学生低学年にして「ネコジャラシはエノコログサ」というのを知っており、この知識を友達に何の気なしに話してみたところ、
「は?ネコジャラシだろ」
と。
そりゃそうでしょう、幼い頃からネコジャラシとして教えられてきたんだからこれはネコジャラシ。エノコログサなんて初めて聞くハナシ。
しかし当時のあっしは躍起になり、エノコログサを主張。どういう結末で話が終わったかは覚えてませんが、普通に多数決で負けた気がします。
今でも覚えているこの出来事は、数年後のあっしに「自分は相手の知識の、語彙のレベルに合わせなければならない」と悟らせたものです。
すごくいやらしい書き方ですが、これは今でも実際、リアルなコミュニケーションで考えていることでございます。
また例を挙げると、話し相手が取り返しのつかないミスをしてしまって、こちらが「覆水盆に返らずやね…」と言ったりすると、あっしより語彙力の低い人は「今なんつった?」ってなるんです。
ここでミスをした側は「そりゃ取り返しがつかんな」とか「やっちまったな」ぐらいの言葉が返ってくると想定しているんです。
で、その考えていたワードとは掛け離れたよく分からん言葉が出てきて、頭の中に「?」が浮かぶことになります。
相手の話を聞くということは、「相手の言ってることを理解する」こと。日本語で話しかけてもらえれば、その日本語を脳内で解釈することを「聞く」というのですが。
話している相手が、それが日本語であっても「自分の知らない未知の単語」であれば、脳内で解釈することができず、結局「はぁ?」って聞き手はなるんですよ。
つまり、語彙力がある人が語彙力のない人に話しかけると、聞き手の語彙力のない人は、自分の持ってる「語彙」の範囲の外からワードが耳にぶち込まれるので、聞き取った所で脳内で解釈できず、意味がわからないことを言っているように感じるのです。これではコミュニケーションが成り立たない。
それこそ自慢ではないですが、あっしは昔から国語が得意で、本も漫画もよく読む子供。本やテレビとかで分からない単語があったら親とかに聞いたり辞書をひいたり。そうやって知識を身につけたので、同年代の他の人より語彙力がやや飛び抜けてます。
今でこそこの自覚がありましたが、自信の無いシャイボーイだった小学生あっしは「言うことを理解してくれないなぁ」と人と接するのが苦手になっちゃいました。
今でこそ、ウェイから見たら陰キャ寄り、陰キャから見たらウェイ寄りの良くわかんない立ち位置にいる(と言われた)あっしなのですが、本当に人と込み入った話をするのが嫌でした。人見知りではないので、挨拶とかはするし、これは今でもなのですが、年上と話す方が楽しかったりしてました。
先輩や大人は、同年代の人と違い、語彙力があっし並みやそれ以上の人がほとんどだったからです。
言葉の力があることはプラスに転ずることが多いのですが、ときたま、こういうことを考えちゃいます。
相手に合わせて、慣用句や難しい熟語が浮かんでも優しい言葉に言い換えたりするクッソ不器用なコミュニケーションの取り方をしております。
だからこそ、Twitterは気楽なのです。
【ポケ短編小説】荒野に現る"奴"
※この短編小説はポケモンを題材にした二次創作です。
「"奴"はポケモンの域を越えてやがる」
酒場で聞こえた会話に、フキヨセナッツを齧りながら聞き耳をたてた。
ここは…少し昔のイッシュ地方。
ヒウンとライモンの間にある荒野には無法な酒場が乱立し、ポケモントレーナーという名の荒くれ者達が、肩で風を切るようにして歩いていた。
酒場は下世話な話や耳寄りな噂、情報通な男達が集まって、毎日毎日、酒の匂いと笑い声で満たされている。
「こないだもペルサの野郎のローブシンがほうほうの体で戻ってきてたぞ」
そういえばここらへんでも有名な地主のペルサって奴も、この間身体中に包帯を巻いて、脚を引きずって歩いていた。そういう経緯があったのか。
なるほど面白い。
「"奴"が出てくるんじゃねえかと考えると、おちおちきんのたま探しにも出掛けられねぇんだよな」
「誰か一泡吹かせてやんねえかな…」
「そんな野郎いんのかこの落ちぶれもんの溜まり場に」
「言えてらぁ」
湧き上がる笑い声。いつもの酒場。
だが、俺の心の中にふつふつと浮き上がるこれは、正義感だろうか。
はたまた名声を求める欲望か。
「…俺が行くよ」
笑い声がシンと収まる。男共の視線がこちらに突き刺さる。
「お前本気で言ってんのか」
「行くのは構わねえが…てめえのポケモンで"奴"に適うのかよ」
まあ…その"奴"がどんなポケモンによるかだな。
俺の手持ちは2匹。ずつきうしポケモンの「バッフロン」とゆうもうポケモンの「ウォーグル」だ。ウォーグルとは俺がバチュルぐらい小さい頃からの長い付き合いで(それこそそいつはまだ進化前のワシボンだったが)、バッフロンは、トレーナを引退した親父から譲ってもらった。2匹も俺も、互いをよく知った家族みたいなものだ。
こいつらとなら、この荒野に現れたならず者に一泡吹かせられるかもしれねえ。
そこで俺は、バッフロンとウォーグルの顔を思い浮かべながら聞いた。
「で…そいつはどんなポケモンなんだ」
俺の目の前に座っていた黒髭の男が、苦笑しながらこう答えた。
「『ガブリアス』だよ、それもとてつもなく凶暴で、クソでかい奴だ」
それは聞くだけでも、背筋が凍る名である。
ガブリアス。マッハポケモンに分類されるドラゴンポケモン。シンオウ地方が起源と聞くが、ときたまこの荒野にも姿を見せる。その分類の通り、マッハの速度で空を飛び、そして商隊の荷車を襲う。獰猛で凶悪なポケモンというイメージは脳裏から離れない。特有の甲高い鳴き声を聞くだけでも身構えてしまう。
「どうだ?怖気づいたか」
ニヤけつきながらこちらを見て吐き捨てる。
「"奴"に適うトレーナーなんかいねえよ、それこそ『四天王』だとか『チャンピオン』だとかを呼んだ方がいいんじゃねえのか」
口々にこちらを見ながら語りかけてくる男達。
「いや、それには及ばねえ。必ず俺の手でガブリアスをぶちのめしてやるよ」
そう啖呵をきった俺のことを皆、笑いながら「怪我するなよ」「死んじまっちゃ冗談にもなんねえぜ?」とマトマビールをあおりながら馬鹿にする。
ナメやがって、今に見てろよ。
そうして俺は翌日、相棒のポケモン達と共に、いつもの酒場の北にある荒野へと足を運んだ。
この辺りの岩肌では「ほしのかけら」が採取出来ることで有名で、小遣い稼ぎにここに足を運ぶトレーナーも多い。
一昨日、例によってほしのかけらを採りにここを訪れたじいさんが例のガブリアスを目撃したらしいのだ。つまり、まだこの辺りで影を潜めている可能性が高い。
ガブリアスはドラゴン・じめんタイプのポケモンだ。空を飛べるだけではなく、地面を泳ぐように潜航することも可能である。足下にも神経を張り巡らさねばならない。
俺はバッフロンとウォーグルをモンスターボールから出した。バッフロンには俺の隣で地面からの異常な振動を感じ次第知らせてもらい、ウォーグルには空からガブリアスを探してもらう作戦だ。バッフロンは歳を取ってはいるが、年の功、長年のポケモンの勘でガブリアスの潜航する地鳴りを感じ取ってくれるだろう。そして何度も言うようにガブリアスはとてつもない速度で空を飛ぶことができる。ウォーグルの目で、ガブリアスを出来るだけ早く見つけてもらいたい。
"奴"の姿は、存外すぐに拝むことが出来た。
バッフロンがいななく。何かを感じ取ったのだろう。その刹那、砂埃が舞い始め、眼前の地面が割れだした。俺は咄嗟にその地割れから遠ざかった。そして次の瞬間、巨大な"何か"が地面から猛烈な勢いで飛び出した。…間違いない。こいつだ。
そのガブリアスは優に3mもあるかという巨大な図体を誇って、俺達の前に現れた。左眼と胸部に大きな傷を負い、体色は一般的なガブリアスと比べてくすんだ黒色をしていた。我以外にこの荒野を統べるもの無しといった佇まいは、俺の腰を抜かせるには充分なものであった。
「グルルウウウウウゥゥッ!!」
空からのウォーグルの鳴き声に俺はハッとさせられ、すぐに立ち上がった。ガブリアスはこちらを、まるで「このちっぽけな生き物は、どれだけのことが出来るのだ」と言いたげに、見下ろしている。目を逸らしてはならないと直感した。
「ウォーグル!ブレイククロー!」
俺はガブリアスから目を逸らさずに、ウォーグルに命令を出した。命令を聞いたウォーグルは、ガブリアスの頭上から破壊の爪を剥いた。しかしガブリアスは振り返って見上げ、腕の鋭い翼でこれを振り払う。爪の威力と翼の威力は相殺され、少し後ろに飛ばされるも体勢を立て直すウォーグル。反動で翼を振り下ろすガブリアス。そして間髪入れずに、ガブリアスはウォーグルに向けて甲高い声で吠えた。すると地面から複数の岩の塊が飛び出し、ウォーグルにまるで意思を持ったように襲いかかった。ウォーグルは素早い動きでこれをかわす。
俺は続けて、バッフロンに「アフロブレイク」を命じた。前脚で地面を掻き、突進の体制に入るバッフロン。ウォーグルが再びブレイククローをガブリアスに向けて放った瞬間、バッフロンはその豪快な脚力で地面を蹴り、自慢のアフロのような毛並にパワーを集中させたまま突進する。同時に攻撃し、反撃の手をどちらかに集中させ、確実にダメージを与える作戦だ。
しかし、こんなチンケな作戦で、突破できるほど甘くは無かった。
ガブリアスはウォーグルに向け、迸るドラゴンのエネルギーを大きな口から放った。間一髪、体勢を崩しながらも避けるウォーグル。そしてそのままガブリアスは尻尾を地面に打ち付け、バッフロンを地面ごと跳ね飛ばした。
「ガブアァァァァァァッ!!」
甲高く、かつ勇ましい声でこちらを威嚇するガブリアス。傷だらけの身体に、俺たちはまだ一つの傷も付けられていない。
ガブリアスは再びこちらに向かって吠え、地面を強く踏みつけた。すると地鳴りと共に地中から無数の尖った岩の塊が飛び出した。石片が俺の帽子をかすめ、つばを切り、俺の服と肌に切り傷をつける。立ち上がったバッフロンはこれを振り払い、ウォーグルも必死で身体を蝶のように翻しかわしているが、鋭利な岩の塊が、着実に2体を傷つけている。
そのままガブリアスは、強靭な後ろ脚で地面を蹴り、空を飛んでいるウォーグルに向かってエネルギーを纏い、襲いかかった。ここまで勇猛果敢にガブリアスに攻撃を試み、ストーンエッジをギリギリにかわし、疲弊していたウォーグルに、驚異的速度のドラゴンダイブを避ける体力は無かった。
そして、直撃。
「ピィィィィ…」
鳴き声を上げながらフラフラと地面に墜落したウォーグル。辛うじて目を開けたウォーグルだったが、首を持ち上げた後、力無く倒れた。すぐに駆け寄り、モンスターボールへと戻す。正に、成す術が無かった。
その時、無意識にウォーグルの元へ駆け寄った俺。だがその間は、完全に無防備だった。
ガブリアスはそのまま空中からこちらへ突撃してきていた。無論、ドラゴンダイブのままである。こんなもの、人間が喰らったら即死だ。
俺は迫り来るガブリアスから目を瞑った。ウォーグルの入ったモンスターボールを握りしめながら。
「バフロオオオオッッッ!!」
目を開けた時、俺の目の前にあったのは、ドラゴンダイブを受け止める、バッフロンの背中だった。バッフロンは頭を振り、右角でガブリアスを振り払った。体勢を崩しつつ、着地するガブリアス。
バッフロンはすぐさまガブリアスに向かって突進した。デカい図体の分、立て直す動きが遅い。渾身のアフロブレイクは立ち上がるガブリアスに直撃し、ガブリアスは、数十メートル先の岩壁にぶつかるようにして突き飛ばされた。衝撃でほしのかけらの破片が散る。
その時のバッフロンの眼差しには、俺を護らんとする意思が、そして仲間に対する"かたきうち"の意思が、ビシビシと感じられたのだった。「バフロロォォォッ!」再び、ガブリアスを眼前に捉えいななくバッフロン。
それを睨みつけたガブリアスは、「ガブゥッ…!」と鳴いた。その目にはどこか、へし折れたプライドの様なものが見えた気がした。よろめきながらも、最後の力を振り絞りながらだろうか。空へと飛び上がり、北へと消えていった。
よろよろのバッフロンと、モンスターボールに入ったウォーグルと、傷だらけの服を着た俺は、目に染みて沈んでゆくリザードン色の太陽を背に、いつもの酒場へと帰った。胸の中に勝ち誇った感情と、そしてどこからか湧いてくる虚しい感情をごちゃまぜにしながら。
それからこの荒野では、巨大な…"奴"。あのガブリアスが目撃されることはなくなった。
「もしかしてドンカラスって弱い?」
悪統一に限らず、タイプ統一パーティを組む時は基本的に弱点が被らないようにする。
まあ当たり前のことであり、とてつもない技の通りの良さを耐性やポケモンの能力や技などでひっくり返して勝利を掴むのがタイプ統一パーティの醍醐味である。これが決まった時の脳汁ドバドバ度は多分半沢直樹が決め台詞を放つ時のそれと勝るとも劣らないと思われる。
そんな中、悪統一パーティを組んでいたワタクシ紅烏は焦っていた。
…勝てねぇ……。
あっし自身の知識不足がかなり足を引っ張ってる部分があるので勝てないのは当然と言っては当然なのだが、毎ターン加速しやがる膝ニワトリだとか、ピカチュウの化けの皮を被った陰キャだとか、ポニ島に引きこもる守り神の恥だとかに蹂躙されるのがもはやお決まりレベルである。
そして、悪統一を始める前から嫁ポケであるドンカラスは、ほぼ絶対にPTに入れるようにしていたあっしの心にあってはならない綻びが生じ始めた。
(これドンカラスをバルジーナに替えたら勝てるようになるんじゃね…?)
今あちこちから「は?」「嫁ポケ捨てるのはないわ」「シャドバやめろ」とかいう様々な罵倒が聞こえてきた気がしますが黙れ黙れ。
ドンカラスはご存知の通り(?)紙耐久。等倍範囲で受けだしても確2にされること受け合いで、鈍足のドンちゃんは上から叩かれてオシマイだ。
そりゃやろうと思えば幾らでも活かしようはあるのだが、PT単位の改革が必要であり、そもそも時間もモチベもないあっしからしたら無理な話である。
ドンカラス→バルジーナにすることで「悪タイプには珍しい耐久型」「Aベトベトンとの物理特殊二枚岩」とか色々なメリットが生じてきて、いよいよドンカラスの立つ瀬が無くなってきている。
ポケモンについての知識は、ポケクラの中ではかなり下の方になるあっしだが、これはどう考えてもドンカラスをバルジーナにした方が勝率が上がると本気で思いだしていた。
一応試行錯誤はした。
「意地でも上から殴る」という確固たる意志の元、追い風をバルジーナやダーテングで吹かせ、スカーフドンカラスを死に出し、そこから無双というプラン。上から殴れるので、ブレイブバードかつじぎりで突破しつつ、自信過剰で攻撃力を上げる。ミミッキュが来れば(じゃれつくを外しでもしない限り)即落ち二コマだし、死に出しした相手のポケモンを落とせないとキツいものがある。ブレイブバードがぶっ刺さってないと勝てない。
受講生からすれば、おいうちふいうち神読型も捨て難いのだが、(⌒,_ゝ⌒)先生のような読みレベルはあっしは生憎持ち合わせてないのである。
ORASの時は「意地アローブレバ確定耐え調整」を施したチョッキドンカラスを主軸にしていたのだが、烈火ポケモンファイアローは見事劣化ポケモンに成り果てたので、この調整ドンカラスも現時点では「ちょっと硬いだけ」というアイデンティティしか得られてないのだ。
嫁ポケ愛だけでパーティに入るだけの、ひたすらかっこいい存在なだけなのだろうか。
なので神様。
新作でドンカラスに暴風と叩き落とすをください。
エアロブラストとデスウイングでもいいです………。
あっしのじいちゃん
どうも。
今回もポケモンとはあんまり関係ない話ですが。
あっしの母方の祖父は、約5年前の丁度今頃、あっしが小学6年生の時に亡くなりました。
今回はそのじいちゃんについて。
じいちゃんの家はあっしの家から徒歩10分ほどのすぐの所にありました。
今ではそこにはその家はなくなり、叔父の新しい家が建っています。
あっしが小学生の頃、親が両方ともいなくなる土曜日には、あっし達(妹を含む)はじいちゃんの家に預けられました。
あっしは優しいじいちゃんとばあちゃんが大好きで、色んな所に連れてってくれたし、色んなものを買ってくれたし、色んなことを教えてくれたし、なにより沢山の愛情をくれてました。
じいちゃんは齢60ほどにしてパソコンが趣味で、いっつも何かをいじってました。今思うとパソコンで何をしてたかは謎です。仕事を定年退職する前は仕事もしてたらしいのですが。
なので機械にめちゃつよい。
ワンちゃんの家も作れるという日曜大工っぷりでハイスペックなじいちゃんでした。
じいちゃんの家には初代DSとDSlightが1台ずつあって、あっしが持ってたDSlightと、じいちゃんの家のDSlightで、Dr.マリオがめちゃ上手いばあちゃんとNewマリオの対戦モードをやってたりしました。
家では1日30分しか出来なかったゲームが、じいちゃんの家ならいくらでも出来る。その自由さも好きでした。
じいちゃんは麻雀のルールだとか、庭に生えてた植物のこと(キンモクセイとかが生えてた)だとか、聞いたことは何でも教えてくれました。
今のあっしはじいちゃんが居なかったら、なかったんだと思います。
そんなある日。じいちゃんは急に体調が悪くなりました。
思うように声が出なくなり、会話が不自由な状態に。大きめの病院で診てもらいました。
じいちゃんを侵した病気の名前は「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」というもの。
ALSとは筋肉を動かす神経が不具合を起こす、治療法も、発症原因もわからない難病の一つ。
声帯に異常があったのではなく、声帯を動かす筋肉が動かなくなっていた状態だったんです。
日を追うごとに、歩きづらくなり、食べづらくなり、遂には寝たまま、呼吸も呼吸器に預けた状態になってしまいました。
じいちゃんの家に行ってたころには、しっかりとその年から介護のようなことをしてました。トイレについて行って手伝ったりだとか。
じいちゃんは病院より家に居たいという意思があったみたいです。
また、じいちゃんの楽しみは、あっしが目の前でゲームをすること。じいちゃんの家には中古のWiiがあり、謎解きやRPGのようなゲームが好きなじいちゃんの前で(元気な頃は二ノ国とかやってた)、ゼルダの伝説スカイウォードソードをやったりして、苦しかったであろうじいちゃんと沢山時間を共有しました。
そして小学6年生の今頃、ちょうど地域の秋祭りがあった日。
じいちゃんは息を引き取りました。
やせ細った腕、少なくなった髪。でも、いつもの優しい顔をしてました。
あっしはその時は泣きませんでした、いや泣けなかったのかもしれません。
翌日のお通夜で泣きました。泣きじゃくりました。地域のおばちゃん達に慰められたのを今でも覚えています。
今回はしんみりとした話でしたが、今のゲームが好きなあっしは、じいちゃんがいなかったらいないと思います。ちょうど今頃亡くなったんだなぁと思い出して、一つ、文字におこしてみました。
今はばあちゃんは少し離れたマンションでワンちゃんと暮らしています。
あっしは自転車で家から10kmほど離れた学校に通っていますが、それもばあちゃんたっての願いで、頑張ってそれを叶えた結果です。
「じいちゃんのお墓が近い、◯◯高校に行ってほしいねぇ」
…じいちゃんは、今でも見守ってくれてるのかな。